近年、企業の多くが電子商取引に取り組んでいますが、ご利用規約やプライバシー保護約款を規定していないWEBサイトをよく見かけます。
ネットビジネス(電子商取引)を行ううえで、ご利用規約やプライバシー保護約款は無くてはならないものの一つであります。
例えば、実店舗で商品Aの販売を法律的に見ていきますと、お客様が店舗に入り、陳列棚から商品Aを選んでレジに持っていくとします。するとレジの店員さんは「500円になります」と代金を請求して来るはずです。実店舗での売買契約の成立は、この時点で成立することになります。
つまり、売買契約は買い主がある物を買いたいと申し出をして、これに対して売り主が売るという承諾をした時点で成立します。当然ながら、逆の場合も考えられ、売り主が買って下さいと申し出をし、買い主がそれを承諾した時点で売買契約が成立する場合もございます。
このように、売買契約が成立するとお客様には代金を支払う義務が発生し、店側には商品を引き渡す義務が発生します。実店舗での売買契約は、通常、代金と引き換えにその場で商品を引き渡すため、代金の支払いと商品の引渡しがその場で完了し、売買契約が履行されたことになります。
では、お客様がオンラインショップで商品Aを購入する場合を考えてみてください。お客様は実店舗と異なり商品Aを手にとることが出来ません。通常のオンラインショップは、ホームページ上の電子カタログでしかなく、ただ単に購入していただくための勧誘をしているだけにすぎず、「購入してください。買って下さい。」と申し出ているわけではありませんし、申し出ているとみなされるわけでもありません。
オンラインショップでは、通常、購入のお申込みをした後にオンラインショップからお申込みの確認メールすなわち承諾メールをお客様宛てに送信致します。この承諾メールがお客さまのご利用されているメールサーバーに到達した時点で売買契約が成立したことになります。
ところが、実店舗では売買契約の成立と同時に契約が履行されるのに対してオンラインショップでは売買契約が成立した時点で商品の引渡しと代金のお支払いが行われないために契約が履行されたことにはなりません。
ほとんどのお客様や一部のネットビジネスを行っている企業は、このような法律の規定を知っておらず、トラブルを招くことも多々あります。
したがって、不特定多数のお客様とのトラブルを避けるためにも、ネットビジネスを行う企業においてはWEBサイト上でご利用規約を定め、お客様とのトラブルを未然に防ぐことが一番よい方法となります。
|